うちには現在浪人中の息子がおります。
最近は落ち着いて明るくなっている息子ですが、中学時代から不登校になったり、いろいろなことがありました。
平成29年度現在、小中学生の不登校は増え続けています。
年間30日以上欠席している不登校の子どもたちは、過去最多の14万4千人になったそうです。そのうち中学生は10万人だそうです。
また、一応学校には行っているものの教室には入れない、教室にはいるけど学校がつらいと感じているといったような不登校傾向にある中学生は推計33万人なんだそうです。
この数字は全中学生の10人に1人が不登校傾向にあることを意味しています。
不登校はもう、対岸の火事ではなくなってきています。
いつ自分の子どもがそうなるかわかりません。
人それぞれ状況は違うとは思いますが、少しでも不登校でお悩みの同じような境遇の方のお役に立てればと思い、記事に残すことに決めました。
自分自身の振り返りのためでもあるかな。5・6年前の自分に向けて書いてみます。
Contents
不登校になってしまった息子
不登校の兆候
中学1年の2学期のことでした。
朝、お腹が痛い、頭が痛いと言って何度起こしても部屋から出てこない日が増えてきました。
夏休みが明けてすぐの頃は何度も何度も声をかけて、ようやく準備をして、なんとか学校に行っていたのですが、ある日担任の先生から電話がかかってきました。
「〇〇くん、まだ学校に来ていませんが、今日はお休みですか?」
「ちゃんと家は出ていきましたけど…?」
イヤな予感がしました。
仕事を中抜けさせてもらって、車で通学路をぐるぐる回りました。
すると、学校の方向とは逆の方向にふらふらと歩いている息子が見えました。
本当にやっと歩けていますといった感じだったので、その日は息子を家に連れて帰り、学校には体調不良で休むと連絡を入れました。
「途中まで行ったけど、どうしてもキツくて行けれんかった。」
息子は言いました。
わたしは、夏休み明けということもあり、ただ身体がついてきていないだけだろうと思って、しばらく学校に行きなさいと言い続けていました。
しかし、その日からというもの、息子はまったく学校にたどり着けなくなりました。
朝は一応家を出るのですが、学校にはどうしても足がすくんで進めなくなってしまうらしく、毎日学校からかかってくる電話で学校に行けていないことを知るのでした。
家に電話をかけると、長い呼出音の後、息子は出てくれました。
「やっぱ無理やった…」
それを繰り返す日々がしばらく続きました。
とうとう学校に行けなくなる
そして学年が上がってしばらくすると、とうとう家から出ることもできなくなってしまいました。
最初はあまりにも毎日毎日頭やお腹が痛いと言っていても、休むと学校に連絡した後は普通の状態に戻るので、今となっては本当にひどい話ですが、仮病を疑ってしまっていました。
でも、それから1か月ほどたった頃、とうとう発熱してしまいました。
風邪薬を処方してもらって飲んでも治らず、ずっと微熱状態が続きました。
原因不明の発熱ということで、しっかり調べてもらった方がいいと、大学病院に紹介状を書いてもらいました。
それから1年ほど、大学病院に通い続けることになります。
保護者としての葛藤と不安
小学校の頃は、活発で明るくて、いつも放課後や休みの日も友達と遊んでいた息子。
まさかそんな子が不登校になるなんて…
さすがに動揺しました。
そして、普通なら学校は行けるものだ、という先入観がしばらくわたしを苦しめることとなります。
本当につらいのは子どものはずなんですけどね。
最近はだいぶ不登校に対する認識も変わってきて、無理に学校に行かなくても大丈夫な指導方針になってきていますが、その当時は、どうにかして学校に復帰させようという空気がありありだったし、世間には不登校は甘えであるという考えが根強くあったので、とてもしんどかったのです。
なので、体調が悪いと言ったからといって、学校をすぐに休ませてしまうと、子どもに甘い母親のレッテルを貼られてしまうんじゃないかと勝手にわたしが恐れていました。
そうやって外野からあれこれ言われるんじゃないかと極度に恐れてしまって、本当に息子はお腹が痛いのに、学校を休みたいためにお腹が痛いと言っているだけだ、ただの仮病だと思い込もうとしていました。
このまま学校に行くことができなかったら、
- 勉強が遅れてしまって、高校に進学できなくなるのではないか。
- 社会に出たときに仕事もすぐに辞めてしまうのではないか。
- このまま社会に出られなくなって、ずっと引きこもりになってしまうのではないか。
こんな不安に襲われて、しばらくはいつも「学校行けそう?」
このセリフばかり言っていたような気がします。
親としては、どうにかできるだけ早く学校に行って授業の遅れを取り戻してほしい。
他の同級生との差が広がらないうちに早く復帰してほしい。
学校に行けなくなってしまったら、勉強が遅れてしまって、入れる高校もなくなってしまうんじゃないか、進学先も就職先もなくなって、ニートになってしまうんじゃないかなどと、まだ分からない子どもの将来を不安に思いすぎるあまり、わたしが焦ってしまって、どうにか早いうちに無理をしてでも学校に行ってもらおうとさえしてしまいました。
先が見えないことが不安で不安で、目先のことしか考えることができませんでした。
息子は基本的に真面目なので、どうしても学校に行けない自分をかなり責めていたのではないでしょうか。
それなのに親から毎日毎日学校に早く行け、早く行けと言われて、とてもつらかっただろうと思います。
不登校の初期段階でできることとは
不登校の兆候が見えだしたときには、もうすでに子どもはストレスの限界に達している状態です。
それに気づいてからは、限界に達している息子に対して、追い詰めるようにいろいろたたみかけるように言うのは止めることにしました。
心がけたことは、次の2つです。
- とにかく息子の状態を受け入れることにした
- 息子に何があってもわたしは味方だと伝えた
とにかく息子の状態を受け入れることにした
息子は結構なんでも適当に受け流すことができなくて、真剣に受け止めてしまうような真面目な子です。
そういう子ほど親に迷惑をかけたらいけないという感情が強いので、日ごろから明るくふるまっているフシがあるし、体調が悪くても、お腹が痛くなったり、頭が痛くなったりという身体症状が出るまで我慢してしまっていたのです。
頑張って頑張り抜いた末の身体の拒否反応なので、決して仮病ではないのです。
息子からしてみたら、今までさんざん頑張ってもう限界まで来ているのに、学校で何があったのかしつこく聞かれたり、とにかく頑張って学校に行ってみろとか言われたりしても、学校であったイヤなことを思い出したくもないし、もうこれ以上どうやって頑張ったらいいんだよって気持ちだったろうと思います。
それなのに、肝心のわたしからは「~してほしい」のオンパレードでもううんざりだったのではないでしょうか。
とうとう毎日続けて体調不良を訴え始めたので、決して急かさずに状態を受け入れようと腹をくくることにしました。
わたしがあれこれ言ってもしょうがないことがあります。息子だって好きで身体が動かなくなるわけじゃない。身体が言うことを聞かないだけ。
あれこれ言って解決するならもうとっくに学校行っとるわ!
息子に何があってもわたしは味方だと伝えた
学校を休み始めたころは、お腹が痛かったり、頭が痛かったりするけれど、何が原因でそうなったかはまだ教えてくれません。
毎日毎日学校に欠席の連絡を入れるのもつらいです。
電話をかけるたびに、学校には来れそうにないですか?遅刻してでもいいので学校に来れませんか?と言われるので、今はずっと体調が悪い理由も分からないし、本人もまだ学校で何があったのかは話すことができないので、本人が話してくれるまでは学校に行くのは難しいです。と言いました。
そして、子どもがどんな状態でいるのかを学校と連絡を密に取ることにしました。
何か学校でイジメに遭っていたとしたら、何度もしつこく問い詰めることは逆に何にも言いたくなくなると思ったので、急かしませんでしたし、ここで無理矢理学校に行かせようとしたら、ただただうるさい親が子どもの気持ちも考えずにガミガミ言うことで、家にも息子の居場所がなくなってしまって、完全にひきこもりになってしまうのではないかと思いました。
ここは時間がかかっても、学校や世間があれこれ言ってきたとしても、何があっても息子を信じて、味方になるべきだし、味方だということをきちんと口に出して伝えました。
言わなくても態度で分かるだろうと思いがちですが、やっぱりはっきり口に出して伝えることで、息子にとっては本当にわたしが味方になってくれていると確信できるでしょうし、追い追い自信につながるのではないかと考えました。
息子が不登校状態を脱出して思うこと
子どもが不登校になったかもしれないと思った時、親としてはどうしていいか分からなくて焦るし、不安になると思います。
焦って親があれこれ先回りしてやったことが、子どもにとっては余計なお世話かもしれません。
不登校の時は、実際終わりが見えないし、子どもがいわゆる順調なレールを外れてしまった感覚があるので、どうにかしてレールに戻そう戻そうとしますが、それがその子にとって本当に良いことなのか、それは分かりません。
不登校になってしまったのは、今までの育て方に問題があったのではないかと思ってしまいがちですが、そんなことはありません。
実際わたしも2人子どもがいるので、上の子も下の子も同じように育てているつもりですが、全然キャラが違いますもんね。
不登校が悪いことで普通に学校に通えるのが良いことなのかといえば、学校に通わないことが不利になるであろうこの時代に、学校に通わないことを選んだのはむしろすごいことなのかもしれません。
レールから外れることを恐れて、親からガミガミ言われてイヤイヤながらも惰性で学校に通っている子だっているはずですから。これが悪いと言っているわけではないですけど。
しがみつくことだって自分ができるならそうしてもいいんです。
子どもには子どもの考えがあって、それぞれのペースがあります。
子どもを信じて、受け入れることが大事です。
親も自分をあまり追い詰めないでおおらかな気持ちでいきましょう!
どうにかなるさ!